詠波-UTAHA-

凍てつく空に響いた言葉が、白煙のように立ちのぼっていくような情景。 この詩集をひと言で例えてください、と言われたら、そう答えるかもしれません。 人工的に磨いた歌というものを超えて、静かで厳かな自然、人間という存在の自然な姿を写した静物画を見つめているような感覚を覚えました。 その煙はゆっくりと、白装束の自己や白薔薇を携えた過去へと自在に形を変え、ときに弱く、強くうねりながら、高度を上げるにつれて澄んだ空気に囲まれていくのです。 どんなに注意を払ったとしても、いくら消してしまおうとしても、社会的な動物の宿命を背負った人間という存在には他人の色が混ざり込んできます。 自分という存在にも必ず影という闇色がつきまとっていて、それを無色にすることは同時に自分の存在自体を無くすことを意味するのですよね。 なぜなら、たった一色では、私たちは何も認識できないから。他人や影という二つ目の色があって初めて、白の煙は相対的に世界に存在できる。 自分の影を認識することの残酷さは、堪え難いもの。だから普段は、その存在を無意識に忘れようとしているのかもしれません。 懸命に生きようとすればするほど、生々しいほどに鮮やかな秘密が存在を蝕み生き辛い。そんな矛盾の中に生きているなんて、私たちは本当に変わった生き物だなあと思います。 そして同時に、そんな変わった生き物に対する愛おしさも同時に感じるのは、私が精神世界の存在を理解し得る同じ人間だからかもしれません。人間でよかった、と思います(笑) わかりにくい詩文のようなレビューになってしまいましてすみません! よいものに刺激を受けると思いがあふれて、自分の言葉を場に合わせて制御することを忘れてしまいます。 今回はご一緒できて光栄でした。またぜひ、どこかでご一緒しましょう♪ 素晴らしい詩集をありがとうございました!
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