つばさ

君が好きすぎて、俺だけをみてほしくて傷つけた…。 どんなことをしても側にいると誓ったはずだったのにその手を離した。 守りたかった、ずっと側にいたかった…。 幼い頃から一緒で、けんかをしてもいつも一緒にいてくれた大切な幼馴染み。 私の中のあなたは大切な家族みたいだったはずなのに…。 気づきたくなかった、あなたに対する本当の気持ちに…。 幼馴染みをとうに卒業して、一人の異性としてずっと好きだった那緒に 男としての欲望のままにぶつかる藤真。 那緒はそのことをきっかけにして壊れてしまった二人の関係に悩みながらも、 藤真に対する自分の気持ちに向き合うことを避け続けます。 自分の中の恋心を自覚した時には、大切なものは手の中をすり抜けていった…。 なんて痛い青春なんだろうと思います。 10代の未熟で幼い恋。 人を傷つけることをいとも簡単にしてしまう残酷さ。 藤真にしても柊子にしても心の中にナイフを持っているので、 相手を傷つける破壊行動が半端じゃありません。 はっきり言って犯罪です。 その部分を不快と思うか許容範囲かで評価が分かれるかなー。 私は柊子のしたことを許せませんが。 好きなのに素直に好きと言えない天邪鬼的な所は誰にでもある から、那緒ちゃんがどうしても素直になれない気持ちも分かります。 那緒ちゃん自身が大切なお母さんを失ってから、 大切なものを失いたくないというトラウマが強すぎて、 藤真の言葉に向き合えないのもよく分かります。 だからこそ、その喪失感を抱えた4年間ずっと側にいたのだからこそ、 藤真にはもう少し那緒ちゃんが大人になるのを待っていてほしかったなと…。 まあー、それが思春期の男の子の限界かな…。 もう一人の幼馴染みの矢野君がとてもいいキャラです。 頭も顔も良いのに恋心には鈍感で…。 なんていうかこの激しい物語の中和剤的存在。 那緒と藤真と矢野君。 この微妙で歪なトライアングルのまま物語は終結します。 表紙イラストが綺麗なのに惹かれて読み始めましたが、心が痛い恋物語です。 一気に読んで切なくて心がひりひりしました。 藤真このままでいいのか…。 このままじゃ那緒ちゃんがあまりにもかわいそうすぎるので、 この二人のその後がどうなったのか、続編の社会人編をぜひ読んでほしいと思います。
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