紗綾

逃走 part・2 2016/2/14 ~ジョーside~ 「も、もしかしてその大事に抱えてるそれって、バレンタインの……」 そう、今日はバレンタインデー。 フィリップ先輩にあげるチョコを手作りして持ってきたの。 まあ近所だからついでに亮ちゃんにもお裾分けしようとは思ってるけど。 「そうなんです。やっぱり分かっちゃいますか?いまから届けようと思って……」 「ふーんそうか。亮にバレンタインデーのチョコをね。どんなのか俺にもちょっとだけ見せてくれないか?」 「え?いいですけど。っていうかこれは亮ちゃんっていうより…」 私の言葉を聞いているのかいないのか? 興味津々で見てくるから、紙袋を開けて中を見えるようにしてみせた。 この日のために練習を重ねて作り上げた、チョコレートブラウニー。 フィリップ先輩、美味しいって言ってくれるといいな。 甘いお菓子のお返しは……甘い言葉がいいなぁ……。 なんて夢見心地でうっとりしてたら、紙袋をさっとひったくられてしまっていた。 「わりーな、亮には仕返しさせてもらったって言っといて!」 え?ちょっと!! 走り去りながら捨て台詞のように何か言ってたけど……。 「仕返し?一体何の??」 あまりの出来事に呆然としちゃって、追いかける事もできなかった。 ど、どうしよう…………。 フィリップ先輩にあげるチョコ、なくなっちゃった!!
3件・1件
大変!どうするジョー!?☆
1件

/1ページ

1件