SHIN

それは彼にとって究極の試練と言っていい。 これで報酬が決まると言ってもいい。 揃えたところで、待つのは冷ややかな視線だろう。 冷ややかな視線は、OLの気の強そうな女性ならばご褒美だが、そんな年齢では無いし、何より生物学的にも、見た目的にも、どう考えても男性だろう。 ただのおっさんなんだけどね! 神以外の誰かに祈った。 悪いヒキを発揮する時は今ではないっ! いや、絶対に怒って欲しくないけれども。 数舜とも、数秒ともとれるしょぼい瞑想を静かに終えた。 ゆっくりと開眼し、その運命の判決を待った。  こ こ だ っ ! ピタリ、と赤7が揃う。 一仕事終えたとばかりに、彼は煙草を口にくわえると、火をつけた。 紫煙を肺に入れ、吐き出す。 慣れ親しんだ行動。 なのに達成感と充実感が湧き、安堵の溜息ともとれる紫煙を吐き出す。 不可避の未来を回避した。 そう、未来は変えられるっ! 「いやぁ、助かったよ、兄ちゃん」 報酬の缶コーヒーを受け取り、謙遜する。 なんてことの無い、当然の結果。 だが、それなのになぜ心が温まるのだろう。 おっさんの台は軽快な音楽を演奏を始めた。 何回も聞いた曲は、まるでクラシックのコンサートにいるような錯覚すら覚えた。 ……という話を簡潔に筆者に聞かせた結果。 「えっ!お前コーヒー飲めるの?」 的外れも大概な答えが返ってきた。 溜息をつき、煙草に火をつけ、紫煙を吐き出す。 「ああ、職場で飲むんだ」 その煙草も最高に上手かった。 以上作者の日常でした。 物凄く平和です。

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