死んだら、埋めて下さい。 大きな真珠貝で穴を掘って。 そうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いて下さい。 そうして墓の傍に待っていて下さい。 また逢いに来ますから。 真黒な瞳の奥に自分の姿を覗きながら、男は、女の願いに頷いた。 赤い日が、東から西、東から西へ落ちていくのを、百年待った。 土の匂いの中、いつか、百合の匂いを嗅ぐために。 「夢十夜」 以前読んだ時は、ぼんやりとした思いしかなかったのです。 しかし、この物語を拝読させていただいてから、もう一度触れてみると 漱石の濃厚な想いが伝わってきます。 痛いほど。 許されぬ恋とはいえ、この想いに胸が締め付けられました。
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あめさん、素敵なレビューありがとうございます。 漱石の『夢十夜』をそうやって読むと、嗚呼そうなんだと分かりますよね。 しかも、愛しい人を亡くした頃から幻聴や幻覚があったそうです(本文で書かなかったけど)

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