人間椅子

この主人公の救いとはなんだろう? 読後にそんなことを考えてみました。 敬愛する江戸川乱歩作「芋虫」においては、孤独地獄に落ちた妻への救いは、自ら井戸へ身を投げた夫の残した「ゆるす」の一筆だったでしょう。 また、「安達ヶ原の鬼女」においては、摂理を越える為に頼った呪術により抜け出られなくなった地獄から救ってくれたのは本人の死でした。 善し悪しとは別に人は愛によって行動します。 たとえ世界を敵に回そうと愛に殉じようとする主人公の狂気は、非常に日本的な美しさを伴います。

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