鮎川 未夢

どの章から読んでも、ピタッと繋がるストーリー。最終章から読んでも勿論楽しめますが、ラストを読むと他の章も必ず気になってしまう。各章に散りばめられた伏線が見事に回収されていて、読み応えあります。 人間の心の闇を鋭い視点で捉えたミステリーサスペンス。時間を忘れ何度も入りたくなるのです。 作品の中で、人間の愚かさや残酷さに触れています。悪事に身を染めた人間の背景を知ると、同情すべき点はあるんですよね。 ぬるい考えだと叱られるかもわかりませんが、悪事を謀ろうとする人達を救い出そうと寄り添う人間がいれば、罪深いことにはならないのだろうなあと思いながら読んでいました。 世の中はどんどん便利になって、人間の思考や行動もスピード化されていきます。スマートな行動力が良しとされ、じっくり考察もできないうちに行動しなければ、社会的に落伍者として押印されるような危機感をどこかで感じてしまう人も少なくないような気がします。 この物語の中では、玉城がそんな危機感を感じていたのでは?と思っています。人を疑うことが苦手で騙されやすい。そんな玉城はいつも周囲の人の気持ちを気にしてジタバタし、スマートには生きられない。私には玉城こそが人間本来の姿だと感じています。 そんな玉城を見て、リクも少しずつ本来の自分を取り戻そうとしたんだろうなあって思います。誰かに何かをしてあげようとする玉城や長谷川のような存在に共感し、リク自身もそうなろうとしたような……。怒ったり泣いたり喜んだりする自分を出してもいいのかなって、もしかしたら感じていたのかも。 第一章で玉城と出会ったのは璃久だったのでは?なんて勝手に想像してます。 体裁ばかり気にして、自分を見失いそうになったとき、玉城や長谷川の熱さに触れさせて頂きたいです。 ラストで玉城が思った一文、その言葉は、本作品を読んでlimeさんに伝えたかったメッセージでもあります。
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未夢さん、『RIKU』に素敵なレビューをくださって、本当にありがとうございます! いつも丁寧に読んでくださり、そして少しずつの感想が、本当に嬉しかったです。 ただひたすら、興味を持って読んでもらえる物語が書きたい。 そう思った時に浮かび上がったのが、この、臆病で生きる力の希薄なリクと、すごく頼りないんだけど無駄に情熱や温かさのある男、玉城(笑) 典型的な謎解きミステリーではないので、楽しんで頂けるためには、この主役級の2人を気に入ってもらわなければならないわけで、そこが一番心配でした。 でも、未夢さんに二人を気に入ってもらえて本当に良かった>< 痛々しい事件も絡ませてみましたが、二人の成
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