藤白 圭

ファンタジーであり、ミステリーであり、社会問題に真っ向から勝負したヒューマンドラマでもある今作品。 作者の筆力、綿密な構成、豊富な知識をあますところなく発揮してあり、タイトルと表紙からは想像できないくらい、骨太で読む人の心を抉るような物語。 戦争やテロといった大きなものから、老人介護、家庭内DV、性的暴行等、日本国内でも毎日のように報道される【暴力】 その中でも児童虐待という、虐待している側も、それが『虐待』だとは思っておらず、また、虐待されている側も思ってはいない。 そこから発生する歪み。 まだ社会を知らない純粋な魂だからこそ、傷つくのは容易く、歪曲されることも簡単な彼らへの暴力。 読んでいて、時に怒り、時に悲しみ、時にやるせない気持ちになりました。 心の闇というものは、誰にでもあります。 負が負を呼び込むように、闇もまた、更に深い闇へと誘う。 けれど、たった一つの光によって救われることもある。 パンドラの箱のように、様々な想いや課題が飛び出した底には、希望が残された物語。 多くの人に読んで貰い、そして、考えて欲しい。 単なるミステリーの枠組みを超えた、社会や人に問題提起する素晴らしい作品だと思います。 素敵な物語に感謝です。
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快紗瑠さん、こんばんは(ΦωΦ) 珠玉のレビューありがとうございます。 まさしく「暴力」に向き合うも、その全容は底知れずに途方に暮れるばかりでした。 人間の根幹に挑むようなもので、とても一介の物書きには手に余る問題です。 けれども指摘の通り、「たった一つの光によって救われること」があります。 自分は物書きですから、それを「言葉」と定義して書き出しました。 果たして目的地に辿り着いたのか自分では窺い知れませんが、この問題に向き合えたことを誇りに思います(ΦωΦ)

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