藤白 圭

ヌラリとした憂鬱な雰囲気の中にある耽美さ。 抒情詩のようでありながら、妙にリアルさを感じさせる文章。 彼女は「ソコ」に存在し、そして、月桂樹も「ソコ」に存在し、共存していた。 彼女の寂しさと血を栄養としていた植物が彼女を取り込んだのか。 それとも、彼女が植物の中に生きようとしたのか。 何とも言いようのない空気感は、ファンタジーでありながらも、ゾクリとさせてくれました。 「私は死ぬまで変わらない」 月桂樹の花言葉の恐ろしさ。 死ぬことすら叶わない彼女は、自分を変えることは出来ない。 だったら、変わらぬ月桂樹を依代に………… あぁ。 やはり、どちらが魅入られ、どちらが吸収されたのかすら分からない不思議な余韻。 月夜の惑わしが、読者の心をも侵食していく。 あめさんの物語は水彩画のようなイメージでしたが、この物語は水墨画。 陰影だけで描かれた中に一滴の「赤」が印象的でした。
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快さん。 珍しくホラーでも書こうかと思い立って挑戦してみたものの、奇妙な話になってしまいました…>_<… 月桂樹の花言葉…そうなんですね。 知らずにこの植物を選んでいたのですが、まさに月桂樹の意思のようにも思えてきました。 水墨画と仰っていただけたのも、興味深いです。 確かに、赤の色ばかり思い浮かべていましたので。 いつも深くまで読み取ってくださり、今回も、はっとさせられました。 素晴らしいレビューありがとうございます( ; ; )
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あめさんのホラーはしっとりと情緒的で、甘い香りの中にじわりと広がる恐怖を感じさせてくれて、物凄く快紗瑠好みです。 なんといいますか。 いい意味での昭和のエログロといいますか。 人というものの儚さと愚かさを彷彿とさせていいですね。 物凄く素敵なホラー。 まさに、甘美で耽美な味わい。 最高です!
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