ンバ(幽霊)

(応援) 笹霜先生の代表作 『四季シリーズ』の第三作、 クサリノウタ。 一作目、二作目は 『郷愁』の要素が強く取り入れられていたが この三作目は前二作を踏襲しつつも メインストリームはまた、別のところにある。 『クサリノウタ』は、 有り体に言うならば 主人公聖宮繋の、独歩の物語である。 父親を知らずに育った繋だが、 彼の母親は、彼を 彼個人として認識しようとはせず 『父の代替品』という型に嵌め、 その輪郭だけを見ている。 父親の面影、遺産、 繋の意志が介在せぬものが 彼を苦しめ、圧迫する。 物語が始まった時点では 繋の自己同一性はかなり朧な状態であり、 青年は自分自身を獲得するために 必死にもがき始めるのである。 この『自己同一性の獲得』こそ 作品を通して描かれる主題であると思う。 自身のルーツを求めて 繋が向かった狭霧原には 信じられない邂逅が 連続して待ち受けており、 そこで出会った人ならざる者達は 繋の無二の心の拠り所となるのである。 第一作の音無霧夜、 第二作の天瀬修一のように 繋は自身を必要とする存在と出会い、 ようやく真に精神の安寧と アイデンティティーとを 得ることが出来たのだ。 そして、 物語が一段落したところで ヒロインが遅刻して登場する。 『個』の一切を廃した 人形のような存在である彼女は 紛れもない、かつての繋の亡霊の姿である。 繋の独歩の唄は、 彼女に確りと自立を促し、 呪縛から解き放つことで 真に完成を見るのだと言える。 ラストバトルは 一作目に登場した音無霧夜と舞雪姫も巻き込み 敵対していたキャラクターが味方に変わって 大規模な集団戦が繰り広げられる。 王道少年漫画好きには、堪らない展開だ。 一つ一つの描写の裏付けが丁寧に行われ、 鎖のように連結して、怒涛のクライマックスへ 収束していく様は、まさしく圧巻の一言。 『クサリノウタ』が戦場に響く時、 あなたは血が沸騰するような興奮を 覚えることだろう。 私が思う、四季シリーズの最高傑作 ぜひ、おすすめです
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なんかもう土下座するしかない胸熱レビューありがとうございます!! なんかもう…感無量でございます…何と形容したらいいのか… とりあえず今度改めてお礼参りに伺います!!ありがとうございます!! NBAさんのガチレビューって静かに熱い印象なんですがまさにその骨頂みたいな感じでこのレビューそのものだけでも個人的にはエライ文章力だと( 主人公を巡る物語の形容、まさしく燃え滾る流れの表現、最高です…!
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喜んでもらえてうれしいよ!!( ☆∀☆) ガチレビューは1000字をすぐ超えてしまうのでとっておきだぜ♪(^^) 俺としても、クサリはぜひ もっとみんなに読んでほしいし!
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