僭越ながらレビューさせて頂きます。 優しさに溢れた物語。切ない描写が多くあるのに、心はポカポカと温まります。 冒頭の、奥さんとのやり取り。誰もが羨むほどの仲睦まじい夫婦。不器用な主人公と、それを支える妻の描写が鮮明に浮かび上がります。そんな素晴らしい情景から一転、胸を締め付ける出来事が足早におき、切なさが押し寄せてきます。 最愛の妻を失った悲しみ。色を失った世界。男って、こういう時に弱いんですよね。すぐに前を向ける強さって無いんです。そんな際に、矢継ぎ早に起こったハチの他界。 もう駄目なんじゃないかなと思ってしまいました。しかし、タマの強さ、ハチが残してくれたものに触れ、少しずつ主人公に色がついて行きます。 そう、人は前を向いて歩き出せる……そういったメッセージにもとれる後半部分は、元気と勇気をも与えてくれます。 そんな自分を模した、キャンバスの中のハチ。そして最後のハチとタマが寄り添う姿……震えが来ました! 涙腺崩壊! 涙が止まりません! ハチとタマは、やっと会えたんだね。そして、あのハチとタマは、主人公とその妻。二人も優しさに包まれた時間へと戻ることが出来たんですね…… それにもう1つ、この作品には秀逸な描写があります。 それは、涙を流すタイミング。 妻の葬式でも涙を流せなかった。だが今、溢れ出して止まらない…… これは、人間の心理を素晴らしい手法で表現されていると感じました。 自分の中で受け入れられない出来事は、人間は無反応になります。 しかし、歳月が流れると、いつしか受け入れなければならない時がやってきます。 そんな時、心が現実として受け止め、涙が溢れ出すのです。それをこの構成で読者に伝える作者様の技術に感服です。 最初に言いましたが、優しさに溢れる物語です。切なさも、辛さも、美しさも、全てを感じられ心が温まる、最高の作品です!
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タックンさん、陽だまりの中に溶けんで……への、物凄く心のこもったレビューをありがとうございます。 読んでいて、こちらの方が感動してしまいました。 なんだろう。 いつものテイストを封印して、感動ものを書こうと思って書いた作品なのに、なぜか、レビューに感動させられる作者という…… もう、涙腺崩壊なのは自分の方です!! こんなにも素敵なレビューを貰って本当に嬉しいです!! ありがとうございます。
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これ、大賞ですよ(;´Д⊂) 最近読んだ小説で一番感動しました
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