藤白 圭

ようやく読破致しました。 読後、この物語に出てくるレグバと共に、登場してきた音楽家達へと思いを馳せ、暫くの間、呆然と致しました。 それだけ、この物語が「凄い」ということです。 ファンタジーでありながらも、そこにきちんとした、歴史や史実に基づき、更には、作者様の中で、彼らの生み出した音楽をきちんと五感で感じ、消化してあるからこそ、読む人の心や魂をも震わせる物語になっているのだと思います。 音楽や美術――――いわゆる、パッションを感じさせる芸術全般に言えることは、どの道においても、皆、名誉や地位、富なんかよりも、「己自身」の中でのこだわりや理想を超えたい!!という飽くなき欲求。 その為ならば、悪魔にでもなんにでも魂を売ってでも構わない。 「自分の心・想い」を音楽に反映させたい。 ただ、それだけなんですよね。 作中のモデル:バガニーニはそのあまりにも上手すぎるヴァイオリン演奏ゆえに、悪魔と契約したと言われておりますが、チャイコフスキーは悪魔に魂を売り渡して、『悲愴』を完成させたとも言われております。 絵画におきましても、ダヴィンチしかり、レンブラントしかり、ミハイル・ヴルーベリしかり。 ここ最近の人物では日本人の鴨居玲なんかが言われておりますが、天才と呼ばれる人間には、そういった噂がつきもの。 魂をも削る想いで音楽に、絵画に、焼き物へと情熱を注ぎこむからこそ、彼等は「伝説」になっていくのだと、この物語を読んで、更に強く感じることが出来た気がします。 個性的な登場人物達の、細やかな心理描写や、その時代その環境を目の前で見ているかのように感じさせる情景描写は圧巻。 読んでいるこちらまでもが、その世界へと引き込まれるかのようで、脳内に映像として浮かぶほどでした。 ここまで多くの方々からレビューを頂いている意味がよく分かります。 本当に素敵な作品を読まさせて頂き、ありがとうございました。 あまりにも衝撃的な作品すぎて、まとまりのない内容になってしまいましたが、この作品に出会えたことに感謝しかありません。
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快紗瑠さん!素晴らしいレビュー、感激です。 チャイコフスキー始め、絵画界の逸話を教えてくださりありがとうございます。 やはり信じられないような才能への最大の賛辞は「悪魔のような」と言われるのでしょうね。 その前人の魅力が書ききれずに歯がゆい思いです。 正直書きますが、後半が少し中だるみになったかなあ、などと反省しております。やはり悪魔が登場しないと面白くありませんからね。 最高のレビューをありがとうございました。まだ頑張れる!と勇気づけられました。 本当に感謝しております。

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