有月 晃

 うんうん。詩野さんの十八番だよね。  生まれ育った街を離れ、いまからまさに始まろうとしている大学生活。サークルにも入ったし、気になる女性も出来た。  これ以上はないと言って良いくらい、王道でしょう。そして、その王道のど真ん中を、きらきらした言葉、場面設定、登場人物逹でひた走る。これですよ。読者の注意を一身に引き付けて、それをやってのけるのが詩野さん……  もうね、安心して身を任せてたんですよ。  ホンマ油断した。  やられた!と天を仰いだ時には、既に手遅れ。  そうきたか。そんな手を使ってきたか。見事なり……  さぁ、読んで!  そして、貴方も詩野トラップにはめられてください。  そうしないと、私のこの悔しさが紛れませんから。とにかく、いますぐ読みましょう。そんな作品でしたよ、ハイ。覚えとけ。
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