かおる

回転軸は時空と連動する 風車の力を見くびらないで… 不思議なモノローグでの書くき出しはSFファンタジーを得意とされる作者様の意気込みなのでしょう。たった二行の導入に壮大な世界観の話が予想されます。 と、次ページでは牧歌的な光景。 おそらくは世界遺産に登録されたキンデルダイクを模したと思われる風車島は冴え渡る筆致によってジブリワールドをもイメージさせられました。 島で暮らすやさぐれ少女アミーが、収穫を祝って旗を掲げている中に出会ったのは世界を周る画学生の星野天。お互いに密命を帯びていることに気付きながらも恋に落ちていくくだりは切ない程にロマンチックで残酷です。 風車祭というにはいささか寂しいという感じは次章で覆されました。 場面はまた変わり、パラレルワールドでの風車祭が作者様の本当に描きたかったものでした。 古代から近未来風のたくさんの風車のモニュメントが立ち並び、中でも秀逸なのは風力オルガン。その前に立つ者の心象風景を奏でるシーンにはうっとりさせられる程に美しいです! ここで、冒頭のモノローグが風力オルガンの製作者である亡きエーレンガルト姫のものであることがわかります。 歪められた世界を絵で正そうとする天と姫の部下たちの攻防は本作の最大の見せ場であることは間違いありません。 アミーの再登場でさらなる活躍が期待されますが、それには更新を待たねば! 続きを楽しみにしています。(★)
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