有月 晃

「妾(めかけ)」とは、裕福な男性が正妻以外に囲う女性。 生活の面倒を見てもらいながら男女関係を結び、その男性の子供を産むこともある。 江戸時代までの武家社会では家督を継ぐ男子が望まれた為、正妻以外に妾を持って子を産ませることが社会的にも容認されていたらしい。 調べてみると、明治時代の途中まで妾の存在は法的にも認められていて、妻と同じく夫の二親等として扱われて戸籍にも記載されていたとか。しかし、明治31年(1898年)には妾の存在は法的な後ろ盾を失い、非公認となる。 それから一世紀以上を経て、現代を生きる私達にとって「妾(めかけ)」という言葉はあまり良い響きを持たない。古風な「側室」という言葉よりは「愛人」の否定的なイメージが強い。 さて、前置きが長くなりました。 この作品の舞台は江戸時代。 ヒロインは家庭の事情からその「妾」という職業に初めて就く女性。 いくら「妾」という職業が社会的に認められていたとはいえ、ヒロインが惹かれる男性にはもちろん正妻がいます。 それでラブストーリーが成立するの?とちょっと心配しつつ読み始めたけど、この作者の場合そんなの全く不要でした。 参加イベントのお題である「契約結婚」「身分違いの恋」をお得意の「江戸物」という舞台で鮮やかに料理しつつ、扱われているのはやはり男女間の普遍的なテーマです。 「時代小説はちょっと……」と避けていると損をしますよ。 冒頭だけでも良いから、まずは手に取ってみてください。 時代小説が苦手な方にこそオススメしたい、とても読みやすい作品です。
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丁寧な説明まで添えて頂き、ありがとうございます 現代とは妾に対する見方が違うのがどこまで受け入れられたか分からず不安ではありました でも、大丈夫そうですね! 妾は合法であっても、やっぱりヤキモチは妬くだろう、そう思ったのが始まりでしたが、正妻はほとんど出番なしでした(笑) 読みやすく書けていたなら良かったです(*ノ▽ノ) いつもいつも、ありがとうございます!
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法律と感情は別でしょうからね。 妾の子供に対する「妾腹」なんて蔑称もあるし、心中では複雑だったでしょう。 毎日楽しませてもらいました。 こちらこそ、良い物を読ませてもらってありがとうございます。
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