有月 晃

 いささか風変わりなタイトルに興味を惹かれ「この作品を読む」ボタンをタップ。  主人公は若い女性らしく、物語の舞台を描写するモノローグは軽妙で読みやすい……と思っていたら、導入部の最終行でいきなり事件発生。  その後は、立て板に水の滑らかさで結末まで一気に。  頭の中がちょっとお花畑(失礼)な主人公の思考は時に見当違いな方向へ読者をミスリードしつつも、コミカルに物語を綴る。これを謎の誘拐犯である男性視点で再現してしまうと、無味乾燥なつまらない物が出来ていたでしょう。  そして、落ち着くべきところへ物語を導く、安定の筆致。安心して身を委ね、物語を楽しめました。  中世欧州を思わせるファンタジーなのに、時代考証を完全無視した和要素をキーアイテムに持ってきたところも良いアクセントとなっていたと思います。  結果として、王道ファンタジー短編と見せておいて不思議な読後感を残す作品に仕上がっています。なんでしょうね。食べ物に例えるなら、うどんパスタ? 和洋折衷じゃなくて、洋の中に放り込まれた和要素がそのままゴロンとこんにちはしてるみたいな。  とにかく、この作者さん独自の持ち味の片鱗を味わいました。これを磨き上げて、長編で読ませて欲しいなと。そんな期待を込めて、このレビューを締めくくりたいと思います。  ちょっと風変わりな面白い作品、有り難うございました。
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レビューありがとうございます。 うどんパスタ。とても嬉しいです。 面白おかしい変な小説を書くのは大好きなので、読んだあと不思議な感覚になってくれたのなら(読者さんが、「くだらねぇな」と笑って気分が明るくなってくれるのが一番ですが)、嬉しいです。 最近はやりの異世界ファンタジーを、面白おかしく書いてやろうと思って書きました。楽しんでくださったならこれ以上の幸せはありません。 まだまだ有月さんに比べたらひよっこですが、これからも頑張って面白い作品を書きたいと思います。 ありがとうございました!!
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