有月 晃

双宿双宿、比翼連理。 随所に散りばめられた興趣豊かな言葉と小道具、そして、市井の町民の暮らしを活写するべく連なる短文。 威勢の良い女房の台詞には、いかにも江戸の風情が漂う。 場面は夫婦二人の夕餉。 きっとこれまでも幾度となく繰り返されてきた日常。 些細な違和感が密やかに仕込まれた釣り針だったと気付くのは、視点が亭主へと切り替わり、物語も終盤に差し掛かった頃。 およそ他者が立ち入る余地の無い、他者の理解などそもそも必要としない、ひとつがいの男と女だけの結末だと感じました。 末期の際にあって、女房はやはり亭主の胸中を理解したのだろうなと。 あの世で再会した二人のやり取りを想像しそうになり、それも無粋と思いとどまりました。 それ程までに純度と完結性を研ぎ澄ませた、鮮やかな苦みと秘めやかな色香漂う掌編です。 ご入賞をお祈りしております。
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おはようございます 素敵なレビューありがとうございました 入賞云々よりもこれは晃さんに読んで欲しくて書いた作品だったので、読んで頂けて本当に嬉しく思います と言っても、ストーリーにメッセージがあるとかそういう事はなく、ここ最近の手抜きを自分でも感じていたので、そんな作品ばかり読んでもらって申し訳なかったと言う謝罪の気持ちを込めて書きました 出来よりも頑張って書いたので、自分としては満足です(笑) 読み返すと、言葉が足らない気もしなくもないですが…… 今までサポートしていただいて、少しは成長できたと思うのです だから、読んでもらいたかった ただそれだけですので、非常に喜んでます(*
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