しのき美緒

 純粋で一途な愛に飢えているあなたへ、おすすめ(*^^*)     江戸時代。裏長屋(うらながや、裏店うらだな、とも)に住む町娘が大店(おおだな)の若旦那に一目惚れされる、というならありきたり。  この作者の豊かなイマジネーションは、妾奉公(めかけぼうこう)という、陰湿なイメージを持つ言葉を、シンデレラ・ストーリーの端緒へと変えてしまった。  純粋で一途なおちかが、妻帯には懲り懲りで女性に対して用心深くなっている近江屋の若旦那の心を解きほぐしていく王道のラブストーリー。  主人公のおちかの揺れ動く心情の描写が瑞々しく、ぐんぐんと物語に引き込まれていく。若旦那の「わがままな女はもう御免」という心情表現とおちかへと惹かれていく自分自身への無駄な抵抗が文章中に散りばめられ、微苦笑を誘う。  読後感も爽やかで、何度か読み返したが飽きることがない。    わたしは、歴史にはかなり詳しく、よって歴史・時代小説にはプロアマ問わずかなり厳しい。この作品にも時代小説としての瑕疵はほぼ無数にあるといって過言ではない。例えば、「おっとさん」。これは間違いなく「おとっつぁん」が正しい。おっかさんに引っ張られてしまった表現である。しかも、武士の娘なので、「おとっつぁん」とは絶対に呼ばない。まあ、こういう感じで色々あるのだが、そんなものが気にならないほど、作品は力強く、物語として完成されている。    最後、これは作者様がお若く「わかりやすく、面白い」を追求する以上しかたがないことかもしれないが、人物の白黒がはっきりしている。人間の多面性に目を向けるとさらに作品の質が高くなる、と思う。  
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ああ、ありがとうございます(*´-`) 若くはないのですが…(笑) 確かに読んでいて白と黒がはっきりしているし、描写が少な過ぎて…などとあちこちに薄っぺらさが(*/□\*) 期限に間に合わせるように書いたのだと言い訳すると、次の作品では言い訳できなくなりますし、口をつぐむ方向で(笑) しのきさんは確かに詳しくていらっしゃる! 羨ましくおもいます 素敵なレビューありがとうございました!
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妄想ではそれがいいほうに作用しているんですよね。長編では逆にアダになりますので、まあ、ままならないものです(笑)。私は何を書いても長くなるので、削る練習をしました。いまも練習中。過不足なく書き、説明臭くならず、短い。書いてみたい……(/_;) 私も江戸時代は詳しくなくて。書く気があまり。
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