喰ウ寝ル

力を抜いたゆるい文章とオシャレな雰囲気が漂う世界が江國香織を思わせた。 特に、会話のリアリティはとても勉強になる。 イカを捌くシーンだけでこれだけ惹きつけられたのは初めてだと思う。 一読しただけでは全てを理解することが出来なかったが、再読してその物語の深さにも驚いた。 散りばめられた彼女の過去。 トラウマとなったその出来事は、彼女を悲観的に映す。 構成の妙にも感嘆した。 主要人物の名前が一切出てきていないが、それでもここまで物語を広げられる作者の力量は凄まじいものだろう。 想像力を掻き立てられる傑作。 個人的には、彼とどのようにして出会い、現在どのぐらいの関係性なのか、つづきが知りたい所だが、それはまた別の話、なのかな。
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レビューありがとうございます。 身に余る言葉に恐縮しつつも、真意を汲んでいただけたことが何よりうれしい。 私にとってはこのレビューこそ今後の糧になるでしょう。
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