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婚約者が死んだんです〈中編〉
にしおかナオ
2018/2/28 0:57
読ませて頂きました。まずは完結お疲れ様でした。安定した地の分に織り込まれた描写が読みやすい作品で、久々に連載を追いたいと意欲に駆られる作品でした。しかし本作の最後の敵は締めくくり、というより締め切りだったかなというのが率直な印象であります。ここを書きたい!という筆者の断片的な思いが後半各所に垣間見えただけに、惜しいなぁと感じさせる展開でした。以下、物語について。 前半、登場人物の心理的背景もうまく織り込ませながら丁寧に伏線を作っておられただけに、後半でそれを回収できなかったことが悔やまれます。里親静子さんの懇ろに娘を思う描写があり後半に活かして来るのかという中での出力不足、雫の会っていた男性の正体と密会の真相についても流れは良かったですが、男性が雫に好意を寄せているのであればさらに人間臭い嫉妬が垣間見えてもよかったと個人的には思いますし、”口が堅い“という選定基準は少し弱い。物語が解決へと向かう中でのキーパーソンの役割が際立てば、作品に更なる奥行きが生まれたのではないかと感じます。 そして何より惜しいなぁと感じるのは雫の死そのものです。”不倫“と同じくらい、死の理由が重要な要素になって来ている作品だけに、このオチが彼女を死に至らしめる理由とするのはどうしても弱く感じます。死なずとも、二人が家族として生きる道はないのか、もしくは死を考えるほどの更なる絶望や苦悩があれば物語にも締まりが出ますが‥お題は「不倫」をテーマとした“純愛”であったと思います。このお題を前提に物語を読み進める読者の視点では、ハッピーエンドではないにせよ、二人の関係に温もりや希望を抱かせるものを期待するのではないでしょうか。果たしてこの物語における純愛とは。雫と優の最期の着地点から見いだすことは難しい結末になったなと感じます。 おそらく、筆者はもっと書きたいのに、これも表現したかったという不完全燃焼があるものと察します。不足の部分を熟考して構成したかっただろうというのもわかります。それ故に今回の最大の敵は締め切りだなと。作品に対する期待もさることながら、筆者の今後の作品も大いに楽しみにしているだけに少し難しいことも申しましたがご容赦ください。今後も応援しています。
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・1件
飛鳥 かおり
2018/3/1 20:52
ナオさん、とっても丁寧なレビューありがとうございますm(__)m 書いた本人以上に深く分析されていて、こちらが勉強になります。 締め切りに追われていたのは確かですが、個人的には書きたいことは書き切れたかなと思っています。強いて言えばナオさんのご指摘にもあったように、後半の静子さんの活躍がなかったことでしょうか。これは執筆時間ではなく物語の流れにうまく乗せられなかったのでカットしました。その辺はまだまだ筆力不足だなあと思います(>_<) さて、この話における純愛とは。という話がありました。 この話は嫉妬や人間の闇に焦点を当てたものではなく、自己犠牲的な意味での純愛を描いています。
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