津蔵坂あけび

(応援) 再読いたしました。台詞の裏に隠された念密な現実の構築が、作品の中で起こっている出来事のリアリティを凄まじいものにしています。 クリスマスも外貨為替市場に費やす彼は、家庭も顧みず、没頭した果てに家族も優秀な部下さえも失う。それは、彼自身が人間性を欠いていたから。 前半で巨万の富を得るまでに至った、人間性のない彼の様子が描かれ、 後半ではそれの代償として、人間関係をすべて失い、何も知らない娘だけが自分に託された、後味の悪い現実が描かれます。 彼は心の中で、娘の手が、やがて大きくなった時に償いを持ってくることを密かに期待しているのか。彼が失ったものの大きさがやる瀬なく心に迫ります。 外国為替に関する知識がある方はもちろん、馴染みのない方でもしっかりと人間ドラマとして楽しめる作品に仕上がっております。
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あけびさん こんにちは。いつもレビュー、有り難うございます。 また、レビュー頂いてから随分時間が経ってしまい、申し訳ありません。 さて、ご感想に返事する為に、私も自作を再読してみました(笑 あけびさんも書き手なのでこの感覚を共有してもらえると思うのですが、自作を読み返すというのはやはり奇妙な感じですよね。 こそばゆく、照れ臭く、もどかしい自傷行為的な側面が強いのですが、やはり当時の自分だからこそ書けた文章でもあります。今の自分には書けません。 そういった意味で昨年末の自分の心理に思いを巡らせる貴重な時間でした。 ……などと、いきなり脇道から入ってしまいましたが。 本作は実際に起
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