青木ぬかり

 もがき戦う女性の姿、それがとてもリアルに描かれています。  職場で明るく振る舞う人もそうでない人も、それぞれが抱える思いは表になかなか出てこないんですよね。  当人がそれを押し殺して生きているんですから。  田舎者、かつ、もう若くない私は、青春ものを読んでいるような気持ちでこの物語の世界に浸りました。  けっして著者さまの描くテーマが「軽い」という意味ではありません。  働く女性の等身大の姿が丁寧に描かれている秀作です。  人はみな、人生におけるさまざまなステージで全身で思い悩むもの……。  その苦悩の深さは、それこそ当人しか知り得ないもので、それを解さない者の助言は心に響かない。  本作を通じ、そんな当たり前のことを思い出すことができました。  ありがとうございました。
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