青木ぬかり

 等身大のリアルな若者を、迫力のある優れた筆致で描いた秀作です。  人はそれぞれ、産まれ落ちた場所で生きていかなければならない……。  つまりは、この世に生を受けた時点ですでに平等ではないということです。  それは育っていく過程でも同じ……。子は、与えられた環境で頑張るしかないんですよね。親を選ぶことはできないのですから……。  大人たちの事情、心情というのは複雑極まりないものですが、子がそれを真に理解するまでには相応の時間を要するのだと思います。  本作は、少し特殊な関係を物語にすることで、逆に一般的な問題に対して問いを投げているように思います。  若者には、それこそ大人の事情などに振り回されることなく、人生における「かけがえのない季節」を過ごしてもらいたい……。  子を持つ者として、そんな教訓を得た思いです。  ありがとうございました。
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