いやぁ、読後、深い余韻が残りました。 この余韻…決して後味が悪いものではありません。何と言いますか…むしろ、清々しさを覚えてしまう不思議な余韻です。 若気の至りで命を宿し、そしてその産み落とした娘さんを『排泄物』とまで言い放ち、手離す主人公。 そして、その後、結婚をし、新たな子供を授かり、そちらの息子さんには母親としての愛情を注ぎ、育てる主人公。 どちらのお子さんも自分の分身である事には違いないはずなのに『この差』は、一体、何なのでしょうか。 それは一重に、父親となるべき男性の責任感の持ちようと産んだ当時の環境が大きく影響していますね。 もし、アニメオタクの家庭教師に人並みの責任感が有り、 主人公が産み落とした娘さんを我が子と認め、愛情を注ぎ、育てようとしていたら、 もしかしたら、主人公は家庭教師と結婚をし、 娘さんを手離したりなどせずに、我が子としてまっとうに愛情を注ぎ、育てていたかもしれません。 つまりは、いくら若いとは言え、思慮や責任感が欠落した両親の身勝手さによって、娘さんは里子に出されてしまった事に他なりません。 その後、主人公は息子さんにもご主人にも先立たれ、アニメオタクの男性も困窮な人生を歩む事になるのですが、 私にはそれが『天罰』の様な気がしてなりません。 捨てられた当時、娘さんは少なからず自分を捨てた産みの母親の事を恨んだ時期も有ったと思います。 しかし、育ての両親は、ありったけの愛情を注ぎ、娘さんを大切に育ててくれました。 そして、やがては娘さん自身も自分の体内に新しい生命が宿って、初めて『産みの喜び』を肌で感じ、自分を捨てたとは言え、産んでくれた母親に感謝の気持ちを伝えたくなったのでしょう。 自分の事を『排泄物呼ばわり』して捨てた産みの母親に対して。 主人公にとって自分が捨てたお子さんからの感謝の言葉…それを聞いた時の心境は本当に複雑ですよね。 こういった作品の場合、たいがいは主人公が過去の罪深い行いを悔いて終わるパターンが多いように思いますが、 今作の大変秀逸な点は、主人公の無軌道な行いを反面教師として、むしろ娘さんの方が心の成長を遂げる点に有ります。 恐らく、そこが読後のある意味清々しさを感じる深い余韻に繋がっているのだと思います! いやぁ、本当に思考に事欠かない大変大変秀逸な作品です! ご拝読させて頂き、本当にありがとうございました!!
1件・1件
にいだサマ、いつもいつも丁寧なレビューをありがとうございます♪♪ 座骨骨折との事、お腰が痛むとはお聞きしておりましたが大丈夫ですか? ただ事ならぬ病名のようですけれど、真の原因が発見されましたのは行幸でしょうか。 どうぞご自愛くださいませ(^_^)v

/1ページ

1件