織田崇滉

桜の木をこういう使い方したか、と感心しました。 がっつり桜をテーマにするのではなく、小道具として憎い演出に利用しています。 主題は産後クライシス。育児のすれ違いに悩む夫婦のセンチメンタルな心情を、男性視点から書き連ねているのもうまい構成だなと脱帽しました。 軽い倦怠期を迎えた夫に忍び寄る浮気の誘惑。昔を懐かしみ、振り返り、それでも踏みとどまって、現実へ立ち戻る。辿り着いたのは桜の木。思い出の詰まった場所。 最後に花見(葉桜だけど)をしに行った家族三人が、絵に浮かびました。 葉桜でもいいんだ、という夫の発言がまた心憎い。あるがまま、ありのままを見つめて行く。ともに寄り添い、連れ立つ。 掌編なのにじんわりと胸に沁み入る、心洗われる作品です。
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恐縮です! 恐悦至極です! ありがとうございます!!!!
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見事な作品でした。 短い字数でこうやってまとめるんだな、と感嘆しました。さすがの入選作です!
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