暗い、ではなく昏い。普段使わない方の『くらい』から拡がる物語はどんなものだろう、と読み進めると「ああ、これは確かに昏い!」とことばの持つ奥深さに酔いしれる。 幼いお秀さんの辛い過去から、男に対して求めるものが大きくなって、出来上がった憧れにずっと恋している中で兼吉に出会ったのでしょう。騙されるくらい良い男だと思いたかったのは、たった一度だけ抱きしめたときのやるせなさ、悔しさが目に浮かび胸が締め付けられるものでした。 騙された自分ばかり責めて騙した男の行く末を気に病んで。川のほとりで水切りしているうちに見えた黄昏と思慕。 この川で出会うあの人は騙されちまったあの男よりゃそりゃよっぽど良い男で。 黄昏時がよく似合って、ついつられて首の後ろに手を回したくなる。 ああ、昏いところから、遙々とやって来てくれたんだ、と読み終えて少しだけ後ろ髪引かれながら家路につこうとしています。 生きているんだもの、こんなに想われて。 そんな想いを共有させてくれる、宵時の物語でした。 ありがとうございます。
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レビューまで、ありがとうございます! お秀の心情を深く読み解いていただいて・・・ むしろこのレビュー読んだら泣けます(´Д⊂ヽ 夜明け、日暮れに、人間の生死を重ねるのはわりとベタな手法ですが、効果的に感じて頂けたようで良かったです。ちゃんと、タイトルの意図も察して下さって☆ ありがとうございました!!
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