ぬりかべ

この物語の冒頭には色がない。 欠点をあげつらっているわけではない。 黒なのだ。 町並みや人の存在は感じられる。 しかし、すべてを飲み込んで、その上で何物にも染まらない黒がある。 漆黒の闇のなかで銀線のような太刀筋だけが瞬間ひるがえる光景が見える。 さて、この話、鬼が出るか蛇が出るか。 心して待つ。

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