紗真

ページコメントに「最初から最後までずっと美しく、ずっと怖かったです」と打って文字数が多過ぎないか確かめていたら間違って送信してしまうというミスをしてしまいました。すみません。お詫びと、それ以前にとても面白かったのでレビューさせていただきます。 タイトルと最初の語り口から、「タイプだ!」と直感でわかるノスタルジック・ホラーでした。村や怪しい娯楽といったモチーフも相まって、遠藤徹さんという人の『姉飼い』を彷彿とさせました。 恐らく最大の見せ場であろう蛇女が登場する前から、風景の描写に打ちひしがれていました。慇懃な言い回しや無駄の無さが、平山夢明さんという人の『独白するユニバーサル横メルカトル』を連想させます。 テントに家族で入る場面が特に好きです。温度や緊張感がこちらにまで伝わってくるようで、蛇女が出てくる場面では知らぬ間に息を潜めながら文字を追っていました。 束の間の夢の続き、蛇女の舞台裏の独白、あっけらかんと綴られてしまう結末。全体を通して仄暗く美しい物語だと思います。誰一人幸せになっていないしむしろ不幸が起きたのになぜか胸を打つラストが、これまた平山夢明さんなのですが、『暗くて静かでロックな娘』を彷彿とさせます。 例え話ばかりで適当だと思われてしまうかもしれません。ですが本当に、その界隈の名のある方が書いた文にしか思えないのです。面白さも怖さも滞りなく進んでいくところが前に挙げた作家さんや、小林泰三さんの『玩具修理者』などその界隈の名作を想起させます。 蛇女、もとい小夜子さんのもの悲しい美しさが主人公同様読み手の心の中に住まうようです。この季節に読めたのは正しく僥倖に巡り合うと言うべきでしょう。 改めて最初から最後までずっと美しく、ずっと怖かったです。長文失礼致しました。
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「見世物小屋の女(ひと)」へのレビュー有難うございました。加えてファン登録して頂き有難うございます。 レビュー頂き、ただただ感謝です。 途中、大御所作家様のお名前まで出てきて恐縮しています。 最近は人気クリエーターさんの作品を読みながら皆さん巧みな作品ばかりで少し落ち込んでいたところでした。 でも紗真さんのレビューで勇気100倍。元気になりました。 本当に有難うございました。

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