砂原雑音

レビューを書くにあたり、この作品は恋愛小説だろうかヒューマンドラマだろうか、と考えた。 もちろん、男女の恋愛、結婚が描かれていることに違いないのだけれど、エブリスタだけでなく他サイトでも、最近の恋愛小説はとにかく恋愛主体で甘くハッピーなものが多い。 私も恋愛小説を書く上で、そういう思考回路になっている。 どちらが悪いということではなく、この作品に関しては、恋愛小説と頭でイメージするものとは少し違った雰囲気だったということです。 カモフラ結婚は、とにかくジレジレでむずきゅん、という印象ですが、それは恋だけでなく、家族の問題や会社の仕組み、職場の人間関係、仕事の夢などそれらの要素も省略されることなく挙げられているから尚更なのかもしれません。 本来、現実の恋愛や結婚はそれらを無視してできるものではなくて、そこを省かずに書かれているからか、この主役ふたりの結婚が現実にあったことのようにリアルに感じられました。 正確で、シンプルなタカナシさんの文章に、それがとても合っていると思います。 そしてそして、甘くないかと思いきや、とにかく塩辛く(失礼)始まったふたりなものですから、ささやかなふれあいが物凄く甘く、胸がキュンキュンさせられます。 もどかしい! なんとかしたい! けどこんなじれじれのふたりが好き! と何度頭で叫んだでしょうか(笑) 私はサイト版と書籍版の両方を読ませていただいたのですが、書籍版に掲載されている後日談が、また良い。 後日談のラストの文章に、夫婦であることの意味が込められているようで、それはこの物語の中のふたりに限らず、すべての夫婦に言えることだろうとはっとさせられました。 そんな風に生きていたいし、 この作品のふたりならきっと、そんな生き方をしていくのだろうと、心が温かくなりました。 ぜひ、書籍を手に取っていただきたい。 後日談まで読んでこそ、この作品の全容が見えると思うのです。 (現在はサイト版は一章のみの公開となっているようです)
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レビューありがとうございます。 雑音さんの恋愛小説の中にも人生ドラマを見ていますよ^ ^ 書籍まで手にとっていただき感謝です。 残暑厳しいですがご自愛ください・・・!
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