織田崇滉

例えるならば、超過酷な昼ドラ、と言った所でしょうか。 主役の中年女性を巡る「性」と「人生」の苦痛と、逆境に生きる逞しさという相反する人間模様を克明に書き綴っています。 過去の悲惨な出来事は読み進めるのも辛く、さらに現代でも過去のトラウマが事あるごとによぎり、主人公を責め立てる……救いのない泥沼感にドキドキハラハラが止まりません。 過去を振り切って奔放な性に生きようとしても、必ず障害が発生して平和な生活は送れず、あの手この手で絶望に叩き落とそうとする手練手管には感心しました。 物語は主人公を追い詰めてこそ面白くなります。危機に陥るからこそ読者は主人公を応援し、好きになるのです。 その点、本作は満点でした。最後に下した決断は、彼女を幸せにするのでしょうか。命を繋ぐために子を産む……それだけ聞くと当たり前のことですが、そこに至るまでの並々ならない覚悟と決意を思うと、重圧に沈み込みそうです。 水底に沈む、あの貝のように。どん底まで沈んでしまえば、むしろ楽だと言わんばかりに。
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殿、ステキなレビューありがとうございます♪ 最後の一文がカッコいい~~♪♪ 腹痛と腰痛で寝込んでました。。も~ババアですねぇ;
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泥沼の愛憎劇は女性作家ならではの凄みがありました。こういうのは僕には書けないなぁと尊敬してます。
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