青星明良

人間は誰だって苦手なものがあり、大なり小なりのトラウマを抱えているものです。この物語の主人公・犬飼好人くんも、幼少時に野良犬に襲われたトラウマから犬が大の苦手。 私たちは「嫌いなものや苦手なものからは逃げちゃえばいいじゃないか」と思いがちですが、好人くんはそうはいかない。なぜなら、居候先のオジサンがペットトリマーをやっているから……! オジサンは、好人くんが犬嫌いだということを知ったうえでお店を手伝わせようとします。普通に考えたらただの嫌がらせにしか見えませんが……というか、オジサンがめちゃくちゃがらが悪いせいで、好人くんを本気でいじめているんじゃないかと疑いたくなる(笑) でも、そんなオジサンも実は「苦手なもの」と向き合い続けているのです。 人間には、心から大切に想うもののためならばトラウマを克服できる強さがある。ほんのちょっとの勇気ときっかけさえあれば、「嫌いだからこそ、乗り越えてやろうじゃないか!」と決意できる闘争心だってある。 この物語は、トラウマに翻弄されつつも立ち向かおうとする人間の心の弱さと強さを描いた人間ドラマだと思います。 この物語を読み終えた後、きっとみなさんも「自分のトラウマと向き合ってみようかな……?」と思えるはずですよ。おススメです。 え? この物語のヒロインは誰かって? もちろん、受難系ヒロインのヨークシャーテリアちゃんたちでしょうね! オスかメスか知らんけど!!(^ω^)
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ありがとうございます。 文春文庫のバディ小説大賞の総評を読み、分析した結果この小説が生まれました。 相反するコンビの個性、ぶつかり合い、そこからの相互理解による絆の形成と成長。 最初から仲良しコンビではドラマが生まれにくい、という論に従って、本作は反発しながらも距離を縮めていく凸凹バディを書けたと思います。 下調べと取材の重要性も改めて再確認し、話の邪魔にならない程度に盛り込みました。 テリアについては、あえて詳細を書きませんでした。何しろ語り手が「犬嫌い」なので。犬嫌いの人間が、犬を事細かに描写できるわけがない。ただやはり、そのせいで犬の様子が伝わっていない点は否めませんね……工夫して何
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