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少し時間があるので短いものを読みます。 蛍は宮城の内陸部にも生息しています。 私が生まれ育った街には、いなかったと記憶してます。 宮城の内陸のずっと田舎の山沿いに、静かに細い川が流れています。 川の名前はおそらくないでしょう。 6月の中旬頃に一人で車で出かけて夕方前にその川懐に車を停めました。 ゆっくりと歩いてなだらかな山道を歩いていくと やがて緑の草原に囲まれて川は流れていました。 幅1メートルほどの川の水かさは、入れば足首くらいの深さでしょう。 もちろん入らずに川沿いを歩いていくのですが もう日は暮れてあたりに街灯はなく でもなぜか川面の光で歩けるほどの明るさはありました。 気がつくとせせらぎの静かな音の向こうにほんわりと 無言で蛍は緩やかに舞いはじめているのでした。 数えれば数えられるほどの数の蛍が明滅して 川の流れをさかのぼったり、茂みに隠れたりしていきました。 ここは源氏蛍の北限の生息地なんだよと お年寄りが通りすがりに教えてくれました。 もう20年以上前の蛍火のようなかすかな思い出を この詩を読みながら思い返しました。 詩人でもあるのですね、たぬきさんは。

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