天川夏織

とてもスムーズに読める作品でした。 そんなに難しい言葉も使わず、風景描写も最低限に抑えながら、かつ水神様と青年とのやりとりはコミカルに描けています。 ストーリー全体のエピソード配分もいい感じです。 テンポよく進むストーリーに最後は鮮やかなオチ…… なぜか何度読んでも爽やかな感じがするんです。 大きな理由は、説明文がシンプルでなおかつ分かりやすいことだと思います。 プロローグではここが神社で私が誰であると直接説明することなしに、参詣客に挨拶する様子を描くことでその状況を見事に伝えています。 逆に、水神様とのやりとりでは、龍が耳を塞ぐシーンを細かく書くなど、一発で水神様に親しみの持てるような表現を取り入れています。 最後に打ち水のように神様を扱っていることの説明も、シンプルにさらっと説明しています。 つまり、風景描写は本当に最小限にして、人間性(水神様なら神性か)を伝える描写はしっかり書くというメリハリが効いた構成にしているのが、この小説の大きな長所である爽やかさの源ではないかと思うのです。 読み手を意識した書き方が出来ていると感じました。 ウィットの効いた青年も、おだてに乗りやすいちょっと間抜けな水神様もどちらもとても魅力的なキャラでしたね。
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細やかな分析とご感想、ありがとうございます! とっても嬉しいです(^^) 「さらっと、くすっと」を信条に書いた作品だったので、そのように伝わっていたようで、さらに嬉しく思います。 改めて、レビューありがとうございました!

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