青星明良

本作は学園を舞台にしたミステリーです。 と言うと、「何だ、よくある学園ミステリーか。あるある」と思われてしまうかも知れません。しかし、 本作は学園のスクールカウンセラーが心理学を駆使して相談者の悩みを解き明かすミステリーです。 となると、「あるあ……スクールカウンセラー? 何それ!?」と首を傾げ、興味を抱いて第一章を読み始めてしまうことでしょう。 この、生徒でも教師でもない、第三者的立場で学校関係者の相談業務を行う人物を探偵役(ナミダ先生)にチョイスしたのは学園ミステリーの新たな分野を開拓したと言っても過言ではないはず。なぜなら、学園ミステリーを他の学園物とは違った切り口で描き、読者に親しんでもらえる可能性を大いに秘めているからです。 学園ミステリーは主に学園で事件が起き、それを探偵役と助手役が解決していきますよね? 今作品では、事件は「生徒や保護者、教師がスクールカウンセラーの元へお悩み相談に来る」という形で勃発します。事件発生までの流れが分かりやすくパターン化できていて、読者がお話に入っていきやすいのは大きな利点だと思います。話の導入部がごちゃごちゃしていたら読者は読むのをやめてしまうかも知れませんから。 そして、持ちこまれる相談内容はというと、現実にもニュースなどで取りざたされている様々な問題です。 性別への悩み、家庭の問題など教育現場で実際に起きている「事件」が題材となり、その生々しさが物語に凄みを与えています。 これもまた、探偵役をスクールカウンセラーにしたことの大きな利点の一つ。現在語られている学校での問題をお悩み相談という形で取り上げやすくしました。 さらに、作者様はサービス精神溢れるドSさん(褒め言葉だよ、織田さん!)なので、二転三転する事件の「真実」が読者のみなさんを翻弄してくれることでしょう。 導入部が分かりやすくて物語に入っていきやすく、ミステリーパートでは大きなどんでん返しが待っている……。分かりやすさと斬新さが合体した、まさに完璧な布陣と言っていいでしょう。 また、物語の後半でそのパターンをあえて崩すことでクライマックスに向けて読者をハラハラさせるのも作者様のサービス精神でしょうか。 もしも続編があったら、他にも学校における生徒や教師たちの問題はたくさんあるので、色々と取り上げてもらいたいですね。
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ルイちゃんや沁のことも書きたかったのに、1000文字オーバーぁぁぁぁぁぁ!!! あああああ!!! ルイちゃん先生と保健室でお医者さんごっこがしたぁぁぁい!!!(←これが書きたかった)
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ありがとうございます! 第四幕の趣向を変えたのは理由があって、連作短編集といえども終盤は「物語」として盛り上げなければいけないので、ナミダ先生に関わる大きな事件を書くことにしました。アクション多めにして視覚的な派手さも挿入したり。 淡々と個別の事件を解決するだけの短編集もプロは出していますが、それは持ちキャラが定着しているから出来ること。 アマチュアはやはり「山場」を作って主役を立ててやらないと訴求力が生まれないようです。
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