進藤ニカ

王道ファンタジーが下地にあるものの、序盤から繊細に描かれているのは若き主人公ヴォルクの、等身大の悩みや葛藤。そこに親友や家族、師匠や想い人といった周囲の人間関係を絡ませる事で、ジュブナイルファンタジーとも呼べるものに仕上がっています。 昨今、主人公がご都合主義なチート使いで、読者にちっぽけな満足感を与えるためだけの装置でしかない作品が増えているなか、こういう「肉体的技量はあっても精神的な弱さがあって、仲間の存在に支えられながら旅を続ける」っていう描きかたは尊いと思います。 だからそういう性質上、本作の魅力を語るには、魅力的な端役の存在が欠かせません。真面目でナイーブで悩みがちなヴォルク君のそばにいてふざけるバカ(褒め言葉)……もとい、あえて三枚目を演じて和ませてくれているようなジュン。彼が救いなのです。好きです。 後半はマジで個人的な感想になってしまいましたが、世話焼き敬語幼馴染みなヒロインのソラちゃんや、元気で癒し系な妹のエアちゃんも可愛いです。女の子目当てでもぜひ一読を。そしてモテない長髪ナンパ野郎のジュンにもスポットが当たって今後の展開も大期待となっております。よろしくおねがいします!
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