Takehiko

瞑目してしばらく 気持ちの高ぶりを抑えなければなりませんでした。 人間は誰しも「欲」を持っています。 それは生きてゆく上で、理想や信念と葛藤を繰り返しながら 自分なりの納得をみつけて、ちょうどいい場所で妥協してゆくものです。 戦争はどうでしょうか。 国の貧困や政治の劣悪さによる教育の歪曲さや、無知。 自分の国なりの正義・・。 国が正当化させた、人が人を殺す行為にあらがう事は 社会生活を営む人間というものには、とても難しい事だと思います。 彼女の絵の前で立ちすくむ人々は 己のうちにある逃げることのできない「業」を見せられた心地がしたのかもしれません。 炎のような紅蓮の紅は、無垢で純粋に燃える命そのもの。 人を助けるために学び、派遣されてきた従軍の医師や看護婦たちは 戦場にまた赴かせるために、壊れた箇所を修理をし 本当に動かなくなるまで続けさせているような、ジレンマもあったのかもしれません。 「平和」という言葉に、彼女はおそらく 国のために・・というより国の家族や愛するものを守るために命を使い果たした その時の兵士たちの顔を忘れることなく思い続け、 力を振り絞って、伝えたいと願ったのでしょう。 彼女自身魂を削るように書いたこの絵は 目をそらしてはいけない過去であり未来な気がしました。 難しい課題を、的確な言葉と描写を駆使なさって紡がれてゆくこの作品は 本当にお見事です。 色々考えさせられました。 良い時をありがとうございました。
1件

この投稿に対するコメントはありません