藤白 圭

全体的にどこか客観的で、薄暗くて。 「楽しい」「嬉しい」といった幸せな雰囲気を感じられない重い作風。 登場人物も皆、何かを抱え、苦悩し、生きていること。 生きていくことに対し、どうあるべきか、どうするべきなのかを悩み、足掻き、もがいている。 そんな人生と、そして男女の気持ちや関係が、淡々と描かれているのにも関わらず、読み手の心に突き刺さる。 ラストには気圧が高く、重苦しい空気を織り成す厚い雲の隙間から、一縷の光が差し込んだような感じがしました。 爽快ではなく、じわりじわりと心に広がっていくような物語。 面白かったです。

この投稿に対するコメントはありません