擬天傘

イベントにご参加いただき、ありがとうございます。遅くなってしまいすいません、結末まで拝読いたしましたので、感想を書かせてください。 ファンタジー小説として、完成度の高い作品だと感じました。結末へと物語が綺麗に向かっていること、ストーリーが破綻なくまとめられていること、まずすごいことだと思います。 一貫してチェントの視点から物語が進行していくため、読者は彼女の視線から物語を受け止めます。彼女の最後の家族であり、最大の敵であるヴィレントの思いについて、僕ら読者も「彼の根底には何が突き刺さっているんだろう」と思いを巡らせながらストーリーを追っていける。執筆にあたり、MSTさんがいかに構想を練りながら書かれていたかを想像できます。 小説の構成について僕が申し上げられることはないと思います。なので、小説としての上手い下手は置いといて、読み物としてEvil Revengerを読んだ上での感想を書くことをお許しください。 チェントに感情移入するのが難しかった僕は、この作品に乗り切るのは厳しかったみたいです。チェントを落とすような、小説全体から感じる雰囲気を苦手だと感じました。 この話はほぼ全体がチェントの視点から語られます。幼少期、兄ヴィレントから理不尽なまでの理由なき暴力に晒されて、本当に辛い過去を過ごしてきた。それを僕たち読者は徹底的にチェントの視線から、被害者からの目線で物語を追い続けます。チェントはわけが分からないまま、恐ろしくて口をつぐみ、嵐が過ぎるまでじっと体を縮める様が克明に書かれています。 気になるのは、チェントからの視点で時々ヴィレントを慮るような描写が見られたことです。 一番最後に、これは過去の色々を飲み込んだチェントが、過去の自分と兄を認め、振り返るようにして語られた話だと判ります。その描写が出るまで、僕は「なんだか主役を落とすような書き方の小説だなぁ」と思って読んでいました。 好き嫌い論なので、「合わなかったんだ、じゃあ仕方ないね」と思っていただけると助かります。好き嫌いくらいしか言うことがなかったというのも本音です。 それくらい小説としてしっかりしていたのではないかと思います。 以上になります。完結、お疲れさまでした!
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こんなご丁寧な感想を長文で頂けるとは、ありがとうございます! 当方、合わない方がいらっしゃることは、承知していても そんな方々がどんな視点で物語を読んで、何を感じているのか 全然分析できていなかったりするので、こういう感想を頂けることはとても有難いです。 次回作では少しでも間口を広げられたらと考えていますので 自分の次に書きたい物語と照らし合わせながら、方向性を模索していきたいと思います! この度は、本当にありがとうございました。

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