【コメント】

もみの木

妄コン優秀作品おめでとうございます。離婚した両親は、共に死去。勤務先は倒産。奨学金という名の借金あり。その上、風邪で高熱、階段から落ちて怪我という最悪の状況のなか、主人公を不幸に落とし込んだ元凶ともいうべき、父親の再婚相手の連れ子に再会するところから、お話は始まります。まさに人生のドン底にいる主人公ですが、自暴自棄にはならず、状況を客観視して、自分の足で立ち上がることのできるたくましさを持っています。そんな彼女だからこそ感じるもどかしさや、やりきれなさに現実感がありました。遠くかすかな記憶とささやかで身近なぬくもりが交差するラストが、夜空に舞う初雪のように温かい作品です。

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