ソラ

ファンタジーと言い切るには、SF要素が強いシリアスなお話。 SFと言い切るには、精神性が濃いファンタジーなお話。 飾り気を抑えた文体や、処々のシニカルな視点は多分SF向き、キャラクターの個性や、救いのある展開は、ファンタジー向き。 じわりとやられる笑いや、ここでそれが来るか。という唐突さ、妄想補完した方がいい場面もあります。でも、だからこそ良い。 作者様の答自慢やテンプレ物語が苦手な、我が侭な私向きです。 己の属性を決めず、どこにもあえて根を張らない話に思えます。 個性的なキャラクター達に、ともすれば呑まれる朴訥な主役。 芯は固いのに寛容で、普段は自己主張が少なく目立たないけど、でも肝心な時は譲らず、それでいて他者の在り方も否定しない、このお話全体を象徴する見事な主役でした。大分後で気付いたのですが。 これだけ長篇の章題が悉く、名言の匂いがするのも好きです。 いいなあ。こんなファンタジー、私も書けたらなあ。
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