「それでまた泣けた。俺泣いてばっか……ちくしょう。」――作中のリキの言葉を引用させてもらう。ちょうどその部分を読んでいた僕の気持ちと同じだったから。  主人公は犬のリキ。彼の一人称視点で語られる物語は、人間の世界であり、動物の世界である。それを細かな部分まで見事に描いていて、動物の世界というファンタジーともとれる視点に現実味を帯びている。もしかすると、作者は動物なのかもしれない?(笑)  日常と非日常――ミステリーがその視点と同様に混ざり合っていく様は、見事としか言い様のない。  犬、猫、そしてカラス。  読めば身近な動物達への扱いが変わるかもしれない、傑作。  未読の方は、ぜひ。

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