例えで挙げるなら、手塚治虫や藤子不二雄が描いた昭和時代のホラー短編漫画の様な印象を受けた。独特な口調のキャラ付け、社会風刺、名前のパロディ。平成である現代にだって通ずるその手法を用いたこの作品からは、しかしながら作者の手腕により昭和時代に見え隠れしていた仄暗い冷たさを感じさせる。  それはさながら一発の弾丸で人生を左右する、物語の主であるピストルのような冷たさだ。  短編作品を多く産み出してきた作者だけあって、やはりオチの付け方は見事。  前作ともいえる「朝起きたらピストルがあった」とあわせて読んでほしい作品。

この投稿に対するコメントはありません