くろかん

「あ、そうだ。今日さ、やけに身体が重いんだー」 「なんだよ、唐突に」 「昨日寝不足だったからかなあ、朝起きたら、身体がやけに重くてさー」 ふむふむ。 「それでさ、体重計に乗ったら……なんと、なんと…」 「いや、そこから先は別に言わなくてもいいから」 あら、そう。と、橘は拍子抜けしたような口調でそう言った。 「まあ、言ってもなんともないんだけどね」 「そうか、それなら聞いてやろうか?」 「いや、やっぱ聞かないで。なんだか立川君のその一言で凄く悪寒が走った」 「じゃあ、僕以外なら大丈夫なのか?」 「いや、大丈夫じゃないと思う」 良かった。これで他の人なら大丈夫なんて言われたら、すごくへこんでいたところだった。 「今日の天気が曇りだからかなあ… 別段、私は低気圧じゃないしなあ」 「そうか。そりゃ、さぞかし大変だろうよ。今から日本列島縦断か? それと、付け足すように言って申し訳ないが、それを言うなら低血圧だろ。」 「うーん、私の希望では日本海で消滅したいなあって思ってて、ってかさ、君は見事に私のボケを殺すよね」 「いやあ、それほどでも」 「誉めてないよ。むしろ貶してる」 「いやあ、なかなかに手厳しい!」 「当然の返答をしただけじゃない」

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