五百蔵淡幽

遥か未来からのSOSが、僕の《平凡》を塗り替えてゆく──
 私が初めて読んだSF小説は、筒井康隆の『時をかける少女』だった。幼稚園に上がりたての頃、兄の部屋で見つけた文庫本。こっそりページを手繰って読んだ現在と未来の交錯は、私に深い感銘を与えた。    ……だからなんだと仰るなかれ。これも感想の一部なのである。今しばらく我慢して読んでいただきたい。  私は『警告─100年後の人類からのメッセージ─』(以下『警告』)を読み、初めて『時をかける少女』を読んだときの感動を思い出したのである。  未来との接触。それはなんともロマンに溢れる響きをたたえているが、到底有り得ないもの、フィクションだと認識されている。大抵の人は、このようなテーマの作品を読むとき、「これはフィクションである」という刷り込みのもと読んでいるだろう。かくいう私もそうだ。  あくまでフィクション、虚構であるという先入観を持ちながら『警告』読み進めたら、圧倒された。これはやばい。いや、やばいを超越してヤヴァイ。下唇噛んで発音する感じでヤヴァイ。  どこか透明感のある語り、退屈な授業の憂鬱、友人たちと過ごす愛しい《平凡》な時間。そして、遥か未来からのメッセージ。  《よくある日々》が、どこで《ありえないフィクション》に変わったのか気付けない。彼らはあくまでナチュラルに未来と接触する。だから読者も、未来人から着信が来たって平然と受け入れる。それが平凡だから。    平凡を愛するみなさん、そして退屈な現実に飽き飽きしたみなさん! これは読まなきゃ損ですよ!
2件・2件
わぁぁ! 感謝感激! って筒井さんの本ですか!? 私はパプリカ大好きです! あの意味の分からない空間が、読んだあとの余韻が素敵すぎる。  そして、身に余る感想を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。 感動して涙ながれてきました。
2件1件
わかる、ちょうわかる!! パプリカの、あの訳の分からなさが好きです。空間に、余韻に、それぞれ読者が何かしらを見いだせる隙間があっていいですよね。また読み返したくなってきました。 こちらこそ、素晴らしい作品を綴ってくださり嬉しい限りです。ありがとう存じます(*´꒳`*)
2件

/1ページ

1件