寓話的ではない人形のデカダンス…
人形の一人称で物語が語られています。人形が不思議に感じることを読者にはわかっている、という視点が秀逸です。 光、色、匂い、温度、触覚…それらが、人形の感覚として淡々と、しかし丁寧に描写されています。 人形の物語としては、まずピグマリオン、それをベースにしたピノキオがありますが、いずれも寓意的で、人形が人間になることが主題になります。 しかし、この作品は、寓意的ではありません。主人公が犬や鳥、子供であれば、凡庸な作家にも書けると思いますが、人形を主人公として、寓話や童話ではなくデカダンスな文学として書き上げるのは、なかなか出来ることではありません。エブリスタにおいて、ライトノベルではない、文学的な素晴らしい作品だと思います。
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