百段階段
冒頭から、暗く重いモノクロフィルムを見ているような錯覚にとらわれます。戦前、戦中、戦後の陰惨で切ない情景に胸が痛くなりました。本当にそういう事があったのでしょうか。 一つのエピソードとして、心に刻まれる作品だと思いました。 死後、ようやく三人の少女たちが笑い合えるなんて、悲しすぎるとは思いますが、しかし、ここに優しい光を見た気がします。 話は変わりますが、この小説の凄いところは、わずかなデティールを専門的にまで描写することにより(例として銃の描写、箱根の裏的歴史など)物語全体の独特の世界観のイメージが湧くことです。ですから、グイグイ引き込まれてしまって、最後まで一気に読んでしまいました。
1件

この投稿に対するコメントはありません