純文学の筆で書く心に残る青春小説!
 サカヤミリン氏は純文学の方で、非常に守備範囲の広い方である。純文学の香りの強い小説もあれば、本作のように文学性の高い青春小説も書かれておられる。  本作品は、中学一年生の少女が経験する恋と思春期、成長の物語である。  天真爛漫な主人公の雫は、ちょっと背伸びして二歳年上の幼馴染、翔と付き合い始めた。翔は雫のことを心から愛してくれているが、一面、強い独占欲の持ち主。だんだん雫には負担になってくる。  そんな時、いじめっ子の記憶しかない壮と再会。彼のやさしさに魅かれ始める。  自分はこの小説を読み終えた時、  「面白い。だけど物足りない部分もある。どうしても伝えたい」 と強い気持ちを抑えきれず、失礼ながら作者自身に忌憚ない感想を送らせて頂いた。  自分の小説でもない。   だがこの小説についてはどうしても、  「これだけでは我慢できない」 という思いを伝えたかった。  これは小説にとって重要ではないかと思う。  自分の体の一部として思い入れを持てる作品。それがこの作品だと思う。  氏はその後、この作品に加筆修正をされたが、自分の無礼な文章が多少でも貢献していたなら幸いである。  この作品の魅力は、登場人物のキャラクターにある。主人公も回りの人間も活きている!  活きた人間を描く。大変難しいことである。  「天真爛漫、明るい性格」と月並みな描写で描かれた登場人物は人間ではない。ロボットである。ロボットの行動に、読者は深い感動を抱くことはできない。  それでは生年月日、好きな食べ物も含め、詳しく登場人物について言及すればよいのか?  だが就活の会社に提出する履歴書を読んで、その人がどんな人間か分るだろうか。魅力を感じられるだろうか?  この作品では僕ら読者の眼前で、巧みな「心理描写」「行動描写」、さらに「文章」を通じ、魅力あふれる少年少女たちが、まるですぐそこにいるかのように、中学という難しい年齢の日々を過ごしていく。  だからこそ僕は、登場人物に思い入れを抱き、「絶対こうあってほしい」という感情を抑えられなかった。  この魅力は、サカヤミリン氏が純文学であることと無関係ではないと思う。  字数は尽きた。  サカヤ氏名の小説の魅力を語る字数が許されないのは遺憾なことと思う。  氏が現在、公開中の青春小説にも大きな期待を抱いている。
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倉橋さん、おはようございます。 サカヤです。 感想ありがとうございます。感無量でござます。 修正前に「感想とご意見ください!」と押しかけたことがもう随分と前に感じます。あれから自分なりに成長出来たと思っております。感謝です。 こんな風に思い入れを持ってご自分の思うがままに考え感じてくださったこと、作者冥利に尽きます。 「これだけでは我慢できない」「こうあってほしい」という感想をいただけたことこそ、ああ書いてよかった、この世界を描いてよかったと一番感じる時かもしれません。 わたしの書くものは、苦手故にどうしても「情景描写」が少なくなってしまいます。取り上げてくださった3点で、少なくとも今回は様々
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