奏音 美都

続き  校舎裏にある焼却場は一年中影に覆われてジメジメしており、ゴミ捨て以外で生徒が来ることはなかった。類が焼却炉の重い扉を下ろし、ゴミを放り込む。 「ありがとう」  笑顔でお礼を言った美羽に、類の綺麗な顔が寄せられた。陶器のようなツルツルの肌、零れそうに大きなアーモンド型の黒曜石の煌めきを放つ瞳、美しい線を描く鼻梁、少しピンクがかった頰、そして血のように真っ赤な潤いのある唇に引き寄せられる。自分と同じ顔を持つ、類に強く魅かれる。  けれど、唇が重なるあと少しのところで美羽はジリッと後ろに下がった。 「人に、見られちゃうかも……」 「少しだけ」  そう言われると、拒否出来なくなる。その響きが甘過ぎるから、断ることに罪悪感を覚えさせられてしまう。 「ンッ……」  重なった唇はけれど、少しというにはあまりにも長く。熱を帯びた舌が美羽の唇を割って入り、縦横無尽に舐め回された。 「ンッ、ンクッ……」  約束が違うというように、その口づけから逃れようとしても、いつの間にかゴミ箱が地面に落とされ、代わりに腰を抱かれて拘束される。ドクドクと激しく脈打ってるのは、心臓の鼓動だけではない。欲蜜が深奥からじっとりと溢れ出る。 「ッハァ、だ、め……」  僅かな抵抗を試みながらも、美羽は結局その濃厚な口づけに溺れてしまう。  このままいけば、私たちの関係はいつか必ず明らかになってしまう。辛いけど、類とは別々の高校を選ぼう。  美羽は心密かに、そう決断した。
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ありがとうございます‼類の美羽への真っ直ぐな想いと禁断の愛に苦しむ美羽の葛藤がとても切ないですが、こんな素敵なお話をいただけるとは本当に嬉しいです‼ますますこの作品の世界観にどっぷりハマりそうです。 これからも応援しています。頑張ってください‼
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なかしんさん、コメントありがとうございます💕 幸せと葛藤の狭間で苦しみながら類に溺れる美羽。学生時代のエピソードを楽しんで頂けて嬉しいです❗️ これからもどうぞよろしくお願いします☺️
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