【コメント】淡々とした文章から溢れる愛情

もういないあなたへ

淡々とした文章から溢れる愛情

レビュー失礼します。ネタバレを含みますので、ご注意ください。父親の思い出と、父親の死と。淡々と語られる前半と、父親の死に直面した後の主人公の心の動きを、繊細な情景で描かれている作品です。子供の頃から嫌いで、そのせいで家を出た。そんな存在の父親。それでも、家族なんですよね。嫌いだけど、本当は愛おしい。失くしたくはない。存在していて欲しい。そんな気持がひしひしと伝わってきて、切なかったです。同時に、主人公が思いのままに父親の死を嘆き悲しめず、理性を駆使して我慢しているところに、また心を打たれました。父親という存在を失くしてしまった家族は、きっと今まで以上の絆が深まるのではないでしょうか。安らかなラストのおかげで、読後は穏やかな気持になれました。穏やかに誰かの死を振り返る。そのきっかけになる作品だと思います。作者様、ありがとうございます(*´ω｀*)

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