優れた文学作品・・・それわディナーと呼ぼう
 サカヤミリン氏は、純文学の立場からすぐれた作品を数々、エブリスタで発表している。  私は小説を読む立場として、ディナーを心存分、楽しみたいと思っている。  以前にも書いたことだ。  小噺、笑い話・・・私は大好きである。私自身、ラジオの深夜放送に投稿を続けていた経験がある。  だが小説のコンテストにも、それが多く見受けられるようになった時・・・  やはり私は、小説とはディナーであって欲しいという気持ちを抑えられないのである。  小説とはゆっくりと時間をかけて味わうものであって、短時間で喧噪のうちに終わるべきものではないと思うからである。  この作品のストーリーを語ることに私は懐疑的である。  この小説の描写を深く味わう中で、一人一人にとってのストーリーが完成するはずである。  だが敢えてこの小説のストーリーを一言で申し上げれば、「幻愛」である。  幻想的な美しい女性《ひと》との邂逅。再度の出会いを求めての彷徨の末に主人公が見たものは何だったのか?  単なる主人公の妄想に過ぎないのか。  それとも主人公に対するヒロインからの甘い囁きなのか?  この小説はハッピーエンドと見るべきなのか?  新しいかたちの愛の始まりなのか?  私はこの小説の全貌をまだ捉えてはいない。  ただこの小説で描かれる恋愛の姿、私を心地よい夢の世界へと導いてくれる。  色欲が絡み合う生々しい現実の恋愛を超越した究極の美しさに彩られた恋愛のかたちと思うからである。  この小説は、優れた文学である。  文学とは読者の主体的参加により無限の面白さと感動を奏でてくれる。  それを体現した小説である。  エブリスタには自ら投稿している人も多く存在するが、この小説を読む時に、新たな創作に向けて得られるものは決して少なくないと心より信じている。  時間をとって読んで頂きたいと願う。
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倉橋さん レビューありがとうございます。 純文学を読むとき、 「作品に入り込み、何かを感じ取りながら、自分なりの答えを見つけていく」 それが醍醐味であって、 書く側もそれを大事にしていきたいと思っています。
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